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念のため、ネタバレに注意されたし。

サイレント映画でトーキーを題材とする点に違和感を感じたが、そこは目を瞑るとしよう。

問題は、ラストだ。
本当に余計なことをしてくれたと思う。

スタンダード・サイズで構成された画面は、モノクロームで描かれる、愛で救われる孤独の物語を極めてシンプルに映し出す。
そこに映画の原初的な体験を彷彿させられる。なにより、フィックスのロングショットが雄弁だ。

それゆえに、惜しい。

こちらの記事のように、最近、巷ではアメリカ人が外国映画やモノクロ映画を観ないと言われているようである。

特に今年のアカデミー賞は権威の失墜も甚だしい、それを象徴する作品として、本作が取り沙汰されることも少なくないようだ。

コーエン兄弟『オー・ブラザー!』の公開時、撮影監督 ロジャー・ディーキンズが、雑誌のインタビューで「いまどき白黒映画なんて誰も観ない」といった旨の発言をしていた。
記事を読んで肝を冷やしたが、その次に発表されたのは、モノクロ映画の『バーバー』だった。
焦った。

手元に資料がないので定かではないのだが、『六月の蛇』のパンフレットで、なぜスタンダード・サイズで撮影したのかを問われた塚本晋也が、本当はもっと縦長のフレームで撮りたかったと答えていたように思う。
それは写真の縦位置、つまりフル・フィギュアを指していると解釈し、人物の描写に長けるスタンダード・サイズの利点に気付かされ、印象に残っている。
間違っていたら、ご容赦願いたい。

それはさておき。
パートカラーではあるが、スピルバーグ『シンドラーのリスト』を挙げるまでもなく、近年でも、コッポラ『テトロ 過去を殺した男』などが発表され、評価も得ている。
無論、黒澤然り。
溝口健二は、むしろ海外の方が評価が高いとも言われる。

本作を通して、サイレント、モノクロで表現された映画にも鑑賞に耐え、また傑作、名作が存在することが、改めて認識されるはずだ。

フリッツ・ラングが、サイレント時代に『メトロポリス』で、サイエンス・フィクションを作り上げた、そのイマジネーションに驚嘆させられ、『M』で得られる衝撃は、現代のホラー映画を軽く凌駕する。

懐古趣味でも、マニアを気取るわけでもなく、『アーティスト』によって、優れた映画が持つ、時代や手法に捉われない、現代に通じる普遍性というものを再考させられる。

でも、ラストがなあ。

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